美しい身体を実現する骨盤ベルトブログ:17-5-21
もう、ずいぶん遠い昔の話…
上の女の子が小学校に入学して間もなく、
「どんな人になりたいか?」という宿題を持って帰った。
「どんな人かなぁ〜」と考えあぐねた末、
わたしに助けを求めて来た。
「人の心の痛みのわかる人間になって欲しい」と言ったところ、
すかさず下の女の子が、
「こころって何、どこが痛いの?」と聞いてくる。
すると
「こころってな、胸、ここ、ここで…」と
七才の姉は三才の妹の小さな手を取り、教えていた。
わたしはなんと説明していいか、戸惑ってしまった。
あれから二十数年、
二人の女の子はそれぞれの道を歩んで成長した。
下の女の子は、文学に興味を示した。
小さい頃からよく本を読んだ。
感動した本に出会うと、瞳を輝かせたりウルウルさせたりで、
心の起伏を素直に表わした。
そのうち、楽しいにつけ悲しいにつけ文を書く事を覚えた。
それは家族一人一人に宛てた誕生日のメッセージであったり、
先生や友人、離れて住む祖父母のもとにもよく手紙を書いた。
下の女の子は六年生になったばかりの春、
二年間闘病を続けた祖父の死に直面した。
お父さんの最後の病室からでて来た手紙の束…
あの剛健で頑固なお父さんからは想像もつかない様な、
涙の後が点々と残された手紙…
そこには
「病気に負けないで」とか
「頑張って」といった文字は無い。
「今日の給食はひじきごはんだったよ」とか
「もうすぐ修学旅行に長崎に行くよ」とか、
たわいのない日常が綴られていた。
女の子は手紙という一つの手段で、
死を直近に控えて眠れぬ晩を過ごしたであろう祖父を、
励まし力づけ心の支えになっていた事を初めて知った。
女の子の書いた手紙にほんの一時でも、
痛みを忘れた晩があったかと思うと
わたしは心が救われる思いがした。